後記

後記

日本で偶然出会った、このワインMARRI WOOD PARK。
最初は自然農法で栽培したブドウからワインを造ったと聞き「ああ、今流行の有機栽培、ビオワイン、オーガニックワインね!」って反応してしまいました。
昨今、有機栽培されたブドウからつくられたワインは、国内はもとより海外からも多くのワインが輸入されているので、今さら素人集団が日本でワイン販売に参戦するなんてナンセンスだと思ったのです。

「このワインはオーガニックワインとは違う」と教えられてもなかなか理解できず、ボトルの見た目も今ひとつだし、ましてやスクリューキャップだったので日本で販売なんて難しいと感じていました。オーストラリアと違い日本は中身もさることながら、見た目(ボトル、ラベル、キャップのデザイン)も優れていなくては、そのうえテーブルワイン的な安価なモノではなく販売価格もそれなりのワインなのだからこのままで売るのは難しい、と現地のスタッフに伝えたことをたった1年半前のことなのに今では懐かしい思い出です。

[写真] 当初は自然農法が何かよくわからないまま月日が過ぎていきましたが、あるきっかけで自然農法(バイオダイナミクス)を理解できた時、まさに「目からウロコ」でした。
そんなにスゴイ徹底した栽培方法がこの世の中にあることが信じられないような世界でした。ワイン好きの友人や知人たちにそのことを伝えても「???よく分からない」という返事しかありませんでしたが、そんな現状を受け止めながらも「このワインは本物だ。こだわりのある本物志向のワイン通の方々に必ず認めてもらえる」という思いが、このワインの特徴を知るにつれ徐々に確信へと変化していきました。
幸いにして、ボトルのラベルデザインやヴィノロックへのキャップ変更を提案でき、現地のオーナーからこころよく(無事に?)受け入れてもらえ、最終的にはボトルまで変更を了承してもらい、素晴らしい中身に見合った外見も出来上がり、こだわりのワインが完成しました。

一年あまりの出来事でしたが、試行錯誤を重ねてものすごく濃い内容で展開していき、特にキャップのこだわりに関しては忘れることができないくらい大変だったことを思い出します。

少しだけ秘話をお聞きください。
スクリューキャップを非難した時に、現地のオーナーは「それでは日本に輸出用の分をコルクに戻しましょうか」と譲歩した提案を出してくれました。その話をあとで周囲のワイン好きの人たちに話したところ、全員が「よかったね!」と言ってくれましたが、私はその提案をお断りしました。理由は簡単です。「そこまでこだわって造られたワインなのに…。あえてリスクの少ない合理性のあるスクリューキャップに替えたのに…」と思い、「コルクに後戻りするのはイヤです。スクリューキャップよりもっと将来性があってコルクの雰囲気の良さにも負けないくらいのキャップを探してみせます!」その場の勢いで言ってしまいました。そのあとは、後悔したり悩んだりでそれは大変でした。

「そんな都合の良いキャップはこの世に存在するのか?」って考えてばかりで何も進んでいかないことに嫌気がさすこともしばしばでした。
正直、面倒くさいから「ごめんなさい」って謝って断ってしまおうかと思ったこともありました。でも自分自身、何も行動しないまま諦めるのは納得いかない性格なので、ワイン好きの友人にも付き合ってもらい3ヶ月くらい毎週数回ワインバーをハシゴして、答えが何かを探し続けました。

ある日友人の誘いで、某ワインバーに行った時のこと。
カウンターに座り初対面だった人の良さそうな(実際に良い方です)マスターに、つい愚痴をこぼしてしまいました。「スクリューキャップのように合理的で、コルクのように雰囲気のある夢のようなキャップってないものですかねぇ…」
すると「こんなのがあるよ!」と見せてくれたのが、今回採用したヴィノロックです。このキャップに出会った瞬間、ものすごく興奮して武者震いもしてその日は大変でした。
おそらくこの出会いがなかったら日本での販売はあきらめていたと思います。

ワインは飲み手によって大変嗜好の異なるものだと思いますので、つくり手の(ワイナリー)の背景や現地の景色などをイメージしながらご愛飲いただければ幸いです。ボトルやラベル、キャップのこだわりのデザインも、ワインを愉しむ演出のお手伝いができていればほんとうにうれしい限りです。

現地からは今後、スパークリングワインも含めて他の品種にも取り組んでいくと伝わってきています。実はスパークリングワインは、すでに現地のオーナーが誰にも教えずこっそりと仕込んでいたらしいので、2009年には販売できる予定とのこと。
はじめは出荷本数は少ないですが、日本用にわけてもらう約束もしてもらいました。
そのスパークリングワインも伝統的なこだわりのある製法を守っている方に依頼していますので、非常にたのしみな逸品になるでしょう。品種はシュナン・ブラン。これで造ったスパークリングワインは本当に美味しいですよ。シュナン・ブランを使うのも、実はオーナーのこだわりなのです。
そのお話しは、スパークリングワインがデビューした時にお伝えしたいと思います。
おたのしみに…
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